もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜






 キアラも、表面上は大人しく過ごしていた。

 レオナルドがらの注意を守っているのもあったが、気が塞いであまり動きたくなかった。
 マルティーナの処刑を受けて、もう無関係なはずなのに、なんとなく当事者の気分がしたからである。

 七回目にしてマルティーナへの復讐が叶ったことはもっと喜ぶべきなのだろうが、まだ胸の奥が疼のは今もダミアーノが生き残っているからだろうか。

 彼は度重なる失態で、社会的地位はかなり下まで落ちているはずだ。その事実だけでも復讐は順調なはずなのに、満たされない気持ちと焦りが今も消えなかった。

 過去六回分の最期の瞬間が、悪夢となって襲って来る夜が今もある。彼女の心は、まだ深く傷付けられたままだったのだ。

 マルティーナは死んだ。
 次は……ダミアーノだ。

 彼の傲慢な性格のことだ、きっとこのままでは終わらないだろう。元婚約者を逆恨みして、水面下で爪を研いでいるはず。
 皇后からはすっかり冷遇されてはいるようだが、最近は再び皇后派閥の集まりに出入りしているようだと皇太子の間諜から聞いていた。

 ダミアーノをきっかけに、なんとか皇后までダメージを与えられないだろうか。
 そうしたら、レオナルドの肩の荷が下りるのに。
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