もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
かつて、帝国の地を震撼させた魔女と禁忌のマナは、今では滅亡している。
魔女のマナは恐ろしく、人間の精神を操り、他のどのような魔法をも凌駕していた。その力に勝るマナなど、この世に存在しなかったのである。
――では、そんな最強の魔女の力は、なぜ滅んだのか?
それは、突如として魔女のマナを無効化する力を宿した者が現れたからだった。彼は新たに目覚めた力で、単独で魔女を倒したのだ。現皇族の祖先だった。
その力に目覚めた者が、ここに、もう一人――……。
「はああぁぁっ!!」
レオナルドが放つ光が更に巨大化していく。広場をすっぽり包み込み、まるで太陽まで飲み込んでしまいそうな勢いだった。
地響きのような音が起こり、ガタガタと大地が揺れ出す。一部の建物が倒壊していき、人々はパニックになって散り散りに逃げ出して行く。
――ドンッ!
耳をつんざく、けたたましい爆発音。
白い光が黒い電撃を弾き返しているのが微かに見えた。
すぐに皇都が真っ白になった。
そして、無。
しばらくして人々が目を開けた時、堂々と立つ皇太子がいた。
興奮を抑えた沈黙が流れて、
やがて、
「わあああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」
溢れんばかりの歓声が皇都中に響いた。
皇太子が、魔女に打ち勝ったのである。
いや、正確には彼女は魔女ではない――ということだろう。