もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

45 最後の悪あがき ※少しだけバトルシーンあり

 黒煙が晴れて、空の青さが混じる。
 まだバチバチと火花が弾ける黒い渦の中心には、レオナルドが地を踏みしめてしっかりと立っていた。

「っ……」

 彼は辛うじて直接攻撃を避けて、致命傷は免れていた。だが反射的に顔を覆った両腕と、太腿の一部が赤く焼け爛れている。

(これまでより随分本物(・・)に近い、強いマナだな)

 巨大な石を全身で受け取った感覚だった。手足の痺れがまだ残っている。
 だが、彼は痛みにあえぐ暇などなかった。魔獣とは異なる攻撃。しかも、いつ、どこから来るのか分からない。
 これ以上犠牲者を増やさないためにも、早く片付けなければ……。

 再び足下が光る。途端に黒い電撃が襲って来た。すかさず魔法で対抗する。マナとマナがぶつかり合って、耳をつんざくような爆音と衝撃波が周囲にどっと広がった。

 土煙が視界を隠す。遠くから悲鳴のような悲痛な声が聞こえた。
 他の場所でも同等の攻撃が行われているのだろうか。そう考えると、焦る気持ちが迫り上がって来る。
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