もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

48 令嬢は、形のない愛を知った

「七度目の正直だな……」と、レオナルドが呟いた。

「…………」

 確信的なその言葉に、キアラは目を見張って息を呑んだ。

 レオナルドは断頭台をずっと見つめていた。
 彼の胸の中は、不思議と穏やかだった。七度目の人生で初めて悲願の勝利を達成したが、嬉しさよりも安堵感のほうが大きかった。

 何故なら、()の彼の隣には――…………。

「レオナルド様」

 キアラはじっと婚約者の瞳を見つめる。彼に伝えなければと思った。ずっと話しかったこと……ずっと、謝りたかったことだ。

「やっぱり、あなたも――」

「いや……」

 レオナルドはキアラの小さな口にそっと人差し指を当てた。彼女の頬が赤く染まる。柔らかい感触に、彼もほんのりと顔を紅潮させた。

「過去はなかった。俺たちに持っているのは、未来だけだ。
 ……そうだろう?」

 レオナルドは少年みたいにニカッと笑い、一拍してキアラも釣られてふふふっと声を出して笑った。

「ええ、そうですね……! 私たちには、明るい未来がありますから」

「ああ!」

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