もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

 
(なんだったんだ……)

 一人取り残されたレオナルドはしばし思案した。

 反応としては魔力の共鳴に近いと思った。それは、魔力の低い人間が高い者と体内のマナを通わせた際に起こる現象で、一瞬だが低い魔力を高みまで呼び起こすことができる。
 彼も、戦場で危機が迫ったときに部下に使用することがあった。あれは、そのときの感触と似ていた。

 だが、キアラ・リグリーア伯爵令嬢にはそもそも魔力を持っていない。ゼロにいくら巨大な数値を掛けても、無から動くことはない。

 それに、あの婚約者。

(あれはダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息か。……皇后派閥の、な)

 あの者からも、微弱だが妙な魔力を感じた。
 これまで感じたことのない、不穏な波長のマナだった。

 この二人には、何かがある。

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