もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
キアラの恍惚とした歪んだ感情は、回帰するたびに激しい後悔に変化して襲いかかった。
(人を殺すなんて、私は、なんてことを……)
他人の生存権を奪う――そのような非道で恐ろしい行為を平然とやってのけていた自分に、とてつもない嫌悪感とやるせない気持ちを抱き、何度も猛省した。
(私って最低だ…………)
後悔は悪夢となって、頻繁に彼女を襲った。ごめんなさいごめんなさいと延々と叫び続けながら目覚める夜もあった。
もう、あんなことは絶対にしない。人の道を外れることは。決して。
回帰するたびに、彼女は心に誓う。
でも、またダミアーノのことを愛してしまって、また暗い闇の道へと自ら進んでいくのだった。
――人として、外れた道へは絶対に進むなよ。
レオナルドの呪いのような言葉が、打ち付けるようにキアラの頭の中に響く。彼の闇を切り裂くみたいなまっすぐに光り輝く双眸が、今でも彼女を捉えたままだった。
(そんなこと……分かってるわよ!)
分かっている。余計なお世話だ。
すっかり汚れている自分のことが、一番嫌いなのに。
(私だって、普通の道を歩みたい。令嬢として、普通に幸せになりたかっただけなのに……)
誰から見られても問題のない、堂々とした明るい道。
それは彼女が憧れている眩し過ぎる未来だった。