もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜






「はぁ……」

 二人だけの秘め事が終わってベッドで愛の囁きを交わしていると、突然ダミアーノがため息をついた。

「……今日は、荒れているのね」と、マルティーナは苦笑する。

「あぁ……」

 彼は一拍黙り込んでから、

「上手くいっていない」

 不機嫌そうに答えた。

「リグリーア伯爵令嬢のこと?」

「それ以外あるか」

「もうっ」マルティーナはくすりと笑う。「本当にあの子のことが嫌いなのね」

「当然だろ? 初対面の時からオレはあの女が大嫌いなんだよ」

 陰気臭い女。
 それが、ダミアーノのが最初に受けたキアラの印象だった。

 烏のような黒い髪に地味な赤茶色の瞳。両親の陰に隠れておどおどしていて、挨拶もろくにできない詰まらない令嬢。
 おまけに顔もさえないし。スタイルは良いが、女にしては背が高すぎると思った。

 彼の好みはマルティーナみたいな可愛らしい女の子。
 華やかで、華奢で、愛嬌がある――そんな守ってあげたいと思うような可憐な令嬢だった。
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