もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
2 愚か者は繰り返す
七回目の人生も、同じ時間、同じ場所から始まった。
「きゃあっ! わたしのドレスぅぅ……」
「キアラ! ミア子爵令嬢に失礼だろうが! 謝れ!」
若い貴族たちの集まる真昼のお茶会。皇子主催の大規模なお茶会は、派閥も関係なく出会いを求める令息と令嬢で賑わっていた。
そんなパーティーの一角での出来事。
(このシーンもむせ返るほど飽き飽きするわね)
キアラは目の前の茶番劇を冷めた様子で見る。
仕掛けたのはマルティーナ・ミア子爵令嬢だ。
キアラに故意にぶつかり、その拍子に熱いお茶を自分のドレスにこぼして、「キアラに意地悪された」と大声で泣き叫ぶ。
不思議なことにダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息は婚約者ではなく、あまり面識のないはずの子爵令嬢をかばって、キアラは一人窮地に立たされる。
――こんな三文小説みたいな筋書きだった。
最初の人生ではキアラは謝った。自分より低い身分のマルティーナに平謝りだ。
彼女のもともとの性格はお人好しで臆病だったので、突発的な出来事に頭が真っ白になって慌てて頭を下げた。なにより、婚約者のダミアーノから嫌われたくなかったから。
でもそれは間違いで、この時点は二人は裏切っていたのだと二回目以降は知っていた。
だから今回も、冷徹に跳ね返す。
「きゃあっ! わたしのドレスぅぅ……」
「キアラ! ミア子爵令嬢に失礼だろうが! 謝れ!」
若い貴族たちの集まる真昼のお茶会。皇子主催の大規模なお茶会は、派閥も関係なく出会いを求める令息と令嬢で賑わっていた。
そんなパーティーの一角での出来事。
(このシーンもむせ返るほど飽き飽きするわね)
キアラは目の前の茶番劇を冷めた様子で見る。
仕掛けたのはマルティーナ・ミア子爵令嬢だ。
キアラに故意にぶつかり、その拍子に熱いお茶を自分のドレスにこぼして、「キアラに意地悪された」と大声で泣き叫ぶ。
不思議なことにダミアーノ・ヴィッツィオ公爵令息は婚約者ではなく、あまり面識のないはずの子爵令嬢をかばって、キアラは一人窮地に立たされる。
――こんな三文小説みたいな筋書きだった。
最初の人生ではキアラは謝った。自分より低い身分のマルティーナに平謝りだ。
彼女のもともとの性格はお人好しで臆病だったので、突発的な出来事に頭が真っ白になって慌てて頭を下げた。なにより、婚約者のダミアーノから嫌われたくなかったから。
でもそれは間違いで、この時点は二人は裏切っていたのだと二回目以降は知っていた。
だから今回も、冷徹に跳ね返す。