もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜
魔女のマナに覚醒したキアラには、ダミアーノの継ぎ接ぎの魔法が手に取るように分かった。それは魔導書を見様見真似で合成したお粗末なものだった。
でも、魔女の魔法は一滴でも効くと言われている。魔力を持っていなかった頃のキアラには、さぞかし効果覿面だったのだろう。
(私は……こんな、魔法で……)
子供じみた稚拙な魔法。こんなものに自分はずっと振り回されて、心を掻き乱されて、辛くて、苦しくて、悩んで、悩んで、悩み続けて。
(本当に、馬鹿みたい)
キアラの赤い瞳がダミアーノを捉えた。彼は壁に強く打ち付けられて、ずるずると倒れてその場にうずくまっている。
(馬鹿みたいだわ……)
キアラの心臓にどす黒いぬめった感情が灯る。それはじわじわと身体中に侵食していって、彼女の思考まで真っ黒く染め上げていく。
(馬鹿ね……)
キアラはダミアーノに向かって手を伸ばす。もう愛情など皆無の冷たい手。
指先から爪を伸ばすように細やかなマナが流れる。長く伸び続けるそれは、ダミアーノの喉元へブスリと突き刺さって――……、