もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

(……対応、間違ったか?)

 一方、レオナルドはキアラが急に笑い出したことに困惑し、眉根を寄せて己の言動を省みていた。
 子供の頃から母親に口が酸っぱくなるほど言われてきた――騎士たるもの、弱き者を助けなければならない。

 自分の目の前で、とても悲しそうに泣いている令嬢を放置することはできなかった。だから咄嗟に身体が動いたのだ。

 ……ただ、リグリーア伯爵令嬢を心から助けたいと思ったのだ。
 何度も己を陥れた仇敵なのに。

「ありがとう……ございます……」

 皇太子のおかげで少しだけ生気を取り戻したキアラは、涙を拭って呼吸を整えた。もう、泣いてなんかいられないのだ。

 ぐったりと倒れいている婚約者を見る。

 七回目の人生は彼から逃げ出したいと思っていた。関わるごとに彼を愛して、何度も過ちを繰り返して来たのだ。だから、その負の連鎖を断ちたいと考えていた。
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