パパLOVE

ある日のこと、彼と飯田くんがこそこそ話をしているのが聞こえてしまった。

そこで彼の意外な秘密を知ってしまうことに。

なんと彼は芸能事務所に所属する俳優だというのだ。

主に舞台俳優として活躍しているらしい。

とは言え、まだまだ彼は駆け出しの新人でメインの役をやらされている訳ではないし、セリフもそれほど多くはないと言っていた。

超ビックリした。

まさか隣の席に座っている私の好きな人がまさか芸能人だったなんて。

しかも、この事実を知っているのは彼の友達の飯田くんと担任の先生だけだと言うのだ。

驚かないはずがないでしょう。

それを聞いた時は、自宅に帰ってからネットで色々と検索した。

今公演している舞台を探して、その中で出演者に彼の名前が載っていないかを徹底的に調べていった。

すると、意外にも早く彼の出演している舞台公演を探し出すことが出来た。

それと同時に彼が所属している所属事務所も知ることが出来た。

彼はSLK芸能事務所というところに所属している主に舞台で活躍している俳優さんだという事実に行き着いた。

そして私は彼が出演する舞台のチケットを購入した。

そしてその週の土曜日に１人で舞台を観に行った。

初めて観た舞台は役者さんの演技と舞台セットに魅了された。

完璧にハマってしまった感があった。

それに、セリフが少なかった彼の演技もスゴく良かった。

役になりきっていた彼の芝居は普段の彼とは想像できないくらいクールな役を演じていた。

彼の役は主人公を助けるクールな剣士役。

目で追うことも難しいくらいの殺陣と、もの凄い迫力のアクションシーンは息をすることを忘れるくらい圧倒された。

本当にカッコいいと思ったし、それは私だけでなく１部の女性を虜にしていた。

ライバルが増えてしまったのは嫌だけど、彼が人気が出るのは、この上なく嬉しいことだった。


Nさんから手紙をもらって１週間が過ぎた頃、私は返事を書いた手紙を自分の机に入れて家に帰った。

翌日になればNさんが手紙を入れに来た時に気付くはず。

もっと早く返事を返したかったけど、何て書いていいかわからず、何度も書いては捨てを繰り返した結果、遅くなってしまった。

でも、ようやくNさんに返事を書くことが出来た。

それからはNさんと私の手紙のやり取りが毎日のように行われた。

色んなことを手紙に書いた。

好きなテレビ番組やアーティスト、最近読んだ小説、最近見た映画の話題などを互いに手紙に書き合った。

また、学校のことも沢山教えてもらった。

面白い先生の話や、怖い先生、要注意先生なども教えてくれた。

クラスメイトのことも教えてもらった。

１人１人がどんな性格で、誰と誰が仲が良くて、誰と誰が付き合っているなど、思いがけないようなことまで教えてくれた。

基本的には、私がいるクラスメイトはみんな良いやつだと言ってくれた。

ただ、悪い方向に流されやすいという危うい面も持っているとも言っていた。

そして、Nさんがそう言う理由が少しずつわかっていくことになった。

クラスの人が私を良く思っていないことは薄々だけど感じていた。

私の悪口を影で言っている人が沢山いるのも知っていた。

授業中に変な手紙がクラス中を回っているのも気付いていた。

内容まではわからないけど、たぶん私の悪口とかそういった類のものだろう。

スゴく悲しかったし、胸が苦しくなった。