パパLOVE
それからも、私と彼は手紙を交換しあった。

日に日に彼への想いが大きくなっていくのがわかった。

私の人生で味わったことのない感情が私の中にあるのを感じた。

彼のことばかりを考えてしまう。

彼が隣りにいないと不安で心が痛くて苦しくなる。


ある日、私は手紙に自分の携帯電話の番号を書いて、ショートメールでもどうですか?的なことを書いた。

すると手紙を読んだ彼は直ぐにメールで応えてくれた。

メチャメチャ嬉しかった。

死ぬほど嬉しかった。

チョー幸せ。


それからは私と彼は手紙ではなく、メールでやり取りをする方法に切り替わった。

四六時中メールをしあった。

朝起きて直ぐにメールをした。

電車の中も、授業中も帰りの電車の中も家に帰ってからも、ベッドに入ってからもメールをした。

彼とメールのやり取りをするのが楽しくて仕方なかった。

彼からメールが来ていないかと、しょっちゅう携帯電話を確認していた。

気付くと過去のメールを何度も読み返していることが多くなった。


あと数日で期末テストが始まる。

成績優秀の彼と私は勉強を教えあったり、テストに出題されそうなところを予想しあった。

すると彼は数学のある問題を私に出題してきた。

確かに学校で教わった数学の範疇ではるけど、全と言っていいほどわからなかった。

答えを聞いて、ようやく解き方を理解できた。

何の問題なのかを聞いてみると彼は大学受験の過去問だと教えてくれた。

この時は、こんな難しい問題が出題されるなんて想像もしていなかったんだけど…。


2日後の3時間目。

数学のテストの時間になった。

いざ数学のテストが始まり問題を解いていくと、何とあの問題が出題されているじゃないですか。

ビックリでした。

驚いたけど、彼から解き方は教わっていたので答えはバッチリ導き出せた。


数日後、数学のテストが返されることになった。

先生は、100点を取った者が、このクラスに2人いると発表した。

これはちょっとマズいんじゃないのかと思った。

だってそれって多分私と西島くんの2人だから。

100点を取ったということは、例のあの問題が解けたということ。

つまり私と【N】くんしかあり得ない。

先生がみんなの前で彼の名前を言った瞬間、彼が【N】であることを私に証明することになってしまう。

どうしよう?

きっと彼はそれを望んでいないはず。

あれこれ考えているうちに、先生が名前を発表しようとしていた。

ところが寸前で、彼が先生の言葉を遮った。

「先生っ、そういうのやめましょうよ。その人が発表されることを望んでいるとは限りませんよ。それより解き方を教えて欲しいです」

彼がみんなの前でそう言ったことで、彼と私の名前が発表されることはなかった。

良かったけど、彼の様子から【N】の正体が私にバレてしまうのは余程嫌なんだということがわかった。
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