パパLOVE
私たちの前からいなくなってからの9年間、どこで何をしていたのか?

何でママと離婚したのか?

今、どこに住んでいるのか?

聞きたいことは沢山あったけど、それを聞いてしまったらパパには2度と会えなくなってしまうんじゃないかという、勝手な妄想に取り憑かれて聞くにも聞けなかった。

だから私は聞かないという決断に至った。

翌朝、起きると1番にパパにメールを送った。

《パパ、おはよう》

《おはよう。学校頑張って》

パパからのメールの返信は昨日の夢のような時間が夢ではなく現実に起きたことなんだと教えてくれた。

「おはよう。何か機嫌がいいわね」

嬉しくて鼻歌交じりにキッチンに入って行くとママから声をかけられた。

「良いかな?」

「良いことでもあった?」

「うぅん、何にもないよ」

ママにはパパとのことは内緒にしておく。

私はそう決めた。


学校に行き教室に入って机に教科書をしまっていると、舞香と詩美が私の席にやって来た。

「舞香、詩美、おはよう昨日はごめんね」

「気にしないで。あのあと、詩美ちゃんと一緒にスタバに行ってお茶してたから」

「私も今度は一緒に行くから」

「うん。それよりお父さん…あれからどうしたの?」

「回転寿司でご飯食べて、そのあと東京スカイツリーに行った。これ見て」

私はカバンに付けた、東京スカイツリーのキーホルダーを自慢気に2人に見せた。

「良かったじゃん。嬉しい?」

「もちろん」

「それで、色々聞けたの? 何で突然いなくなったのか? 今まで何をしていたのか?」

「聞かなかった。聞きたかったけどやめた。せっかく9年ぶりに会えたのに、余計なことを言ってまた会えなくなったら嫌だから」

「気持ちはわかるけど、9年も音沙汰なかったんだよ。だと思ったら突然現れて、絶対おかしいよ」

舞香は顔を真っ赤にして興奮してそう言った。

舞香のこんな顔を見るのは初めてかもしれない。
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