パパLOVE
西島香澄
白川奈未から何かを聞いた舞香と詩美の様子は明らかにおかしくて、私がしつこく聞いても教えてくれなかった。

それどころか、詩美は怒って教室を飛び出して行ってしまった。

何で私が怒られなきゃいけないの?

詩美ってホントにムカつく。

向こうが謝ってこないなら絶対に許さない。

その日は舞香とは普通に接していたけど、詩美は私には全く近づいてこなかった。

睡眠不足とイライラで体調が悪くなっていった。

体がダルく、熱っぽかった。

せっかくパパが帰ってくるっていうのに、何で私は風邪なんて引いてるの。

自分で自分がムカついて仕方なかった。

午前中の授業を終えた頃、思った以上に体調が悪くて、先生に言って早退をすることにした。

学校の門を抜けて歩いていると、目の前がクラクラして立っていられなくなった。

それでも何とかフラフラしながら近くの公園まで歩いて行った。

でも、これ以上は歩けない。

どうしよう?

ママに連絡しようものなら、エライことになってしまうのがわかるので言えない。

かといって、頼れる人って誰もいない。

あっ…1人だけいた。

店長…

なぜかこの時、店長の顔が浮かんだ。

私にとって頼れる大人、信用できる大人って店長しかいないって、この時初めてわかった。

熱のせいか、薄れゆく意識の中で私は店長に電話をしていた。

『もしもし、西島さん』

『店長…今どこですか?』

『まだ自宅にいるよ。西島さん、どうした?』

『体調が悪くて早退したんですけど、帰り道で動けなくなっちゃって…』

『今どこ?』

『学校の近くの公園のベンチに座ってます』

『わかった。今すぐ行くから待ってて。絶対にそこから動くんじゃないよ』

『はい…』

電話を切ってから、どれくらい経っただろうか?

誰もいない公園のベンチに横になっている私って一体何なんだろう?

バカとしか言いようがない…

少し眠りたい…
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