パパLOVE
目が覚めてスマホの時刻を見てみると、15時半になっていた。

そう言えば、今日もバイトが入ってたんだ。

急いで店長に電話しなきゃ。

プルルルル――プルルルル――

「お電話ありがとうございます。社員の板垣です」

聞いたことのない男性の社員が電話に出た。

嫌な予感がした。

『もしもし、バイトの西島と言います』

『西島さん?あぁ、今日の遅番で入っている人?』

『そうです。実はインフルエンザにかかってしまいまして、今日はお休みさせて下さい』

『えっ…そうなの?困るなぁ。ただでさえ、人がいなくて困ってるって時に』

何この言い方…ムカつくんですけど。

思ってなくても少しは心配したらどうなの?って言うか店長はどうしたのよ?

『本当にすいません。それより店長は?』

『インフルで休んでるよ。代わりに僕が応援で来ているって訳』

『そうなんですか…』

『もしかして君がうつしたんじゃないの?』

何この人?

とんでもないことを言ってるのわかってる?

確かに私がうつしたのかもしれないけど言い方ってもんがあるでしょ!

『どうなんでしょう?』

店長だったら絶対にこんな言い方しない。

嫌味の1つだって聞いたことない。

本当に店長は良い人で、優しい人なんだとこのヘッポコ社員を見て改めて感じた。

『君がうつしたんだから責任取ってよね。わかっ‥』

プッ‥

プ――プ――プ――

頭にきたから途中で電話を切ってやった。

こんなバカに付き合いきれない。

それよりも、店長大丈夫かな?

アパートに独り暮らしって言ってたし、心配になってきた。

店長にインフルをうつしたのは私だし、心配だし、責任あるし…

店長のアパートに行かなきゃ。

あいにく私は薬が効いたのか体調はだいぶ良くなっていた。

今なら動ける。

私は着替えを済ませて、ママに気付かれないように家を出た。

店長の家は前にバイト仲間と一緒に行ったことがあるのでわかってる。

隣町に住んでいるので電車かバスで行かなくてはならない。

でも、今の私にそんな体力はないし、気力もない。

お金はかかってしまうかもしれないけど、タクシーを呼ぶことにした。

歩きながらタクシー会社に電話をして、近くのコンビニまで来てもらうことにした。
< 145 / 378 >

この作品をシェア

pagetop