パパLOVE
家のリムジンで街の中を走っていると、そこそこ大きい公園を見つけたので車を止めてもらって降りた。

別に公園の遊具で遊びたい訳じゃないし、遊ぶつもりもないけど中に入った。

ベンチに座っていると、同じ年ぐらいの兄妹が遊んでいるのが目に入ってきた。

とても仲の良い兄妹に見えた。

楽しそうにしているけど、私とは住む世界が違うと思うと、身分の差を感じた。

好きな物を好きなだけ買ってもらえる訳ではないし、好きな場所にいつでも連れて行ってもらえるようなことはないのだろう。

可哀相な子供たちなんだと思えた。

しばらくは庶民の子供が遊ぶのをただ眺めていた。

全然面白くも何ともない。

「お嬢様も一緒に遊んではどうですか?」

「何で私が?」

「遊びたいんじゃないですか?お嬢様…」

「あっ‥遊びたくないって言ったら嘘になるわね」

「では、私めが彼らに声をかけてきましょう」

「そう…」

そして、兄妹に声をかけた柊木がしばらくして戻って来た。

「お嬢様、彼らにお嬢様と遊ぶように言ってきました」

「何て言ってた?」

「是非、遊んでもらいたいと言っていました」

「なら、遊んであげても構わないわ」

「では、行きましょう」

柊木に連れられて、兄妹のもとに歩み寄った。

すると男の子の方が笑顔で応えてくれた。

「こんにちは。僕たちと遊ぼう?」

「遊んであげてもいいわよ」

「良かったぁ。僕は西島って言うんだ。君は?」

「私は白川奈未。超お金持ちのお嬢様なの」

「そうなんだ。なみちゃん家はすごいんだね。この子は僕の妹のスーちゃん」

「スーちゃんです。よろしく」

妹は手を差し出し握手を求めてきた。

何この子?

お嬢様の私に握手を求めてくるなんて何て図々しいのかしら。

身分をわきまえなさいよ。

「スーちゃん、手が汚れてるからなみちゃんがかわいそうだよ」

男の子は私に気を遣ってくれたのか、そう言ってくれた。

でも、お嬢様の私が庶民から握手を求められて拒んだなんて知られたら、白川家の名に傷がつくかもしれない。

ここは誰にでも手を差し伸べる大らかで優しいお嬢様を演じなくては。

私は手を差し出した妹の手を両手で優しく包みこんであげた。

「お嬢様、流石でございます」

柊木が私の耳元で聞こえないように耳打ちしてくれた。

当然でしょ。

でも、柊木に褒められるのは悪くない。

自然と笑みがこぼれてしまったけど、そんな顔を誰にも見られたくなくて平静を装った。
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