パパLOVE
「ブランコはもういいから違う乗り物に乗りたいわ」

私が他の遊具を求めると、彼は私と妹を連れて滑り台というものの前まで連れて行ってくれた。

何これ?

階段がついているところを見る限り、ここから上に登るのね。

そう思っていたら、妹が階段を使って一番上まで登って行ってしまった。

「なみちゃん、はやくっ」

妹は私を呼ぶと、私が上がってくるまで待っているような態度をとった。

仕方ない。

登るとしますか。

そして私は階段を登って1番上まで上がった。

「なみちゃん、見ててね」

妹はそう言い残すと5メートル下まで一気に滑り降りてしまった。

面白そう…

でも、ちょっと怖いな…。

「なみちゃん、僕が下で待ってるから安心して」

私が滑るのを躊躇していると彼は滑り台の下から声をかけてくれた。

不思議と彼が下にいてくれていると思うと勇気が湧いてきた。

こんな気持は初めてだった。

そして彼に向かって滑り降りた。

ヒュ〜〜

「気持ち良い〜〜」

初めての滑り台は思っていた以上にスリルとワクワクが半端なかった。

風邪を体で体感することが出来た。

私が滑り終えると彼は笑顔で手を差し伸べてくれた。

彼の手を掴みたいと思ったけど、自分の境遇を考えると素直に手を差し出すことが出来なかった。

ふと、柊木に視線を送ってどうするべきかを確認すると、柊木は小さく微笑み頷いた。

だから私は彼の手を握った。

とても温かくて優しい手だった。

顔が赤くなるのを感じた。

胸がドキドキと激しく鼓動を始めた。

何だろうこの気持ち?

今までに感じたことのない感情…。

それからも沢山の遊具で遊んだ。

どれも初めての体験でワクワクが止まらなかった。

遊園地は親に連れられて行ったことがあるけど、絶叫マシーンとは違ったスリルと体感を楽しむことが出来て興奮した。

気付いたら彼らと3時間近く一緒に遊んでいた。
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