パパLOVE
彼と妹は私の周りにいるような子供とは違って、特別扱いをしてくることも媚びを売ることもご機嫌取りをするようなこともなかった。

これが庶民というものなのだろうか?

庶民というのはおかしなものだ…。

それにしても、今日この2人と出会って初めて遊んだ訳だけど、ずっと前から知り合いだったような錯覚に陥るくらい馴染んでいた。

不思議なことってあるのね。

「それじゃあ、私は家に帰ってから習い事が沢山あるので帰りますわ。大金持ちのお嬢様である私は庶民と違って忙しいの」

「そうなんだ。頑張ってね。また、一緒に遊ぼうね」

「あそぼうね」

彼らは私の厭味ったらしい言い方にも動じず、また遊ぼうと言ってきた。

何なのこの2人…

「そこまで言うなら、また遊んであげてもいいわよ」

「うん、じゃあね、バイバイ」

「バイバイ」

彼らは手を振りながら帰って行った。

気付いたら私も彼らに向けて手を振っているではないだろうか…

「何?」

柊木が私を見て、ニヤけていたので強い口調でそう言った。

「いえ、何でもありません。たた、今日のお嬢さまはとても楽しそうにお見受けできます」

「ふざけないで。全然楽しくなんて…」

「はい、承知しました。また機会があったら、この公園に来て彼らと遊びましょう」

「柊木、あなた何かムカつくわね」

「それは失礼致しました」

「フフッ」

柊木の感情のない謝罪と全てを見透かしているような目を見ていたら可笑しくなって笑ってしまった。


それからは毎週日曜日は習い事も何もないので例の公園に行った。

するとあの兄妹は必ずいて一緒に遊んだ。

何度も遊んでいるうちに、私は彼らに心を許して、自分がお嬢様だということを忘れて遊びに没頭した。

そんなことはどうでも良かった。

彼らと一緒にいる時は金持ちも庶民も関係ないし、私はただの小学2年生の女の子に戻れた。

彼らと知り合って3ヶ月が経とうとしていた。

私は日曜日になって、あの兄妹と一緒に遊べるのが楽しみだった。

彼に会うのが待ち遠しかった。
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