パパLOVE
「柊木、少し質問してもいいかしら?」

「何でしょう?お嬢様」

「何か変なの。胸が苦しいの。胸がジーンと熱くなるの。これって何かの病気かしら?病院に行った方がいいかしら?」

「お嬢様、病院に行く必要なんてありませんよ。きっとそれは恋というものです」

「恋?」

「はい、恋です。恋という病です。お金持ちでも庶民の方でも関係なく誰でもするものです。そしてそれはお嬢様が大人の女性になろうとしている証拠です」

「だったら、どうしたらそれは治すことが出来るの?」

「そうですね…それは今1番会いたい人に会えばわかるんじゃないでしょうか?」

「私が今、1番に会いたい人…」

私が会いたい人は世界中でたった1人しかいない。

私が会いたいのは…西島くん唯一人。

「では、今頭の中に浮かんだ人に会いに行きましょう」

「行くの?」

「会いたくないんですか?」

「会いたくない訳じゃないけど、彼が今どこにいて何をしているかわからないわ」

「大丈夫です。こういうこともあろうかと、リサーチ済みです」

「柊木…」

「何でしょう?」

「仕事が早くなったわね。ありがとう…」

「ありがたきお言葉。では参りましょう」

それから私は柊木が手配しておいたリムジンに乗り込んで屋敷を出た。

彼に会えると思ったら不思議と胸が高鳴っていた。

ドキドキするし、ソワソワと落ち着かなかった。

車を走らせてから30分くらい近く経っているけど、車の窓から見える外の景色は全く見覚えのない場所だった。

「柊木、一体どこに向かってるの?」

「もちろん西島様がいらっしゃるところです」

「だから、それがどこなのか聞いてるの?」

「あと5分程度で到着しますので今しばらくお待ち下さい」

「早くしてちょうだい」

「かしこまりました」

「ふんっ」

一体どこにいるっていうの?

って言うか、どうしてこのお嬢様である私が、たかが庶民のために時間を割いて会いに行かなければ行けないのかしら。

そう考えていたら、何だか無性に腹が立って行くのをやめたくなってきた。
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