パパLOVE
「柊木、痛いわ」
「すいません、お嬢様。つい嬉しくて力が入ってしまいました」
「あのあと、あの兄妹はどうしたのかしら?」
「旦那様の指示で家に帰らせたようです。お嬢様が一般人の子供に滑り台から突き落とされたなんて事件が世間に明るみに出たら白川家の評判に傷がついてしまうからと」
「お父様らしいわね。別に文句はないわ」
彼のことは好きだけど、あの妹と関わるのは2度とごめんだわ。
命がいくつあっても足りない。
西島香澄…
絶対にこのことは忘れない。
病院に緊急搬送されて数日後に私は退院した。
さらにそれから数日後に私はお父様の言いつけでアメリカに引っ越すことになった。
さんざん好き勝手をしてきた報いだった。
何だかんだ言っても私はただの小学生で、お父様の命令には逆らえなかった。
だから2つ返事でアメリカ留学を了承した。
また、向こうにもお父様のお屋敷があり、そこで暮らすことが決まっていた。
そのことは彼には伝えないでおいた。
理由は別れるのがツラかったから。
彼の顔を見たら、行きたくなくなってしまうのがわかっていたから。
出発当日。
今日の午前のアメリカ行の飛行機で出発することになっており、9時過ぎには空港に到着していた。
お父様とお母様には屋敷を出る前に挨拶を済ませているし、2人とも忙しいので見送りには来られなかった。
私は執事の柊木と一緒に行くことになっていた。
登場時間までは時間があったので、柊木の勧めで空港内にある喫茶店に入ってコーヒーを飲んでいた。
「柊木、そろそろ搭乗の時間よね?」
「さようでございます」
「早く行きましょ」
「承知致しました」
それから搭乗口に向けて歩いているけど、前を歩く柊木はいつもよりも歩くスピードが遅いように感じられた。
何年も私の前を歩いている柊木を何百何千と見てきているのだから、ちょっとした変化でも私にはわかる自信はある。
「柊木、遅いわよ。もっと早く歩きなさい」
「お嬢様、少しラウンジで休ませてもらってもよろしいですか?」
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「ちょっと…」
「そう、まだ時間はあるから少し休みましょう」
「ありがとうございます」
それから椅子に座って柊木の体調の回復を待ったけど、こんなところで少しくらい休んだくらいで良くなるとは思えなかった。
こうしている間にも、搭乗時間は刻一刻と迫ってきていた。
「柊木、もう行かないと遅れてしまうわ」
「そうですね…致し方ありませんね」
「大丈夫?歩ける?」
「はい、問題ございません」
そう言って立ち上がり、歩きだした柊木はいつもの柊木に戻ったようで、とてもさっきまで調子が悪いと言っていたのが嘘のようだった。
「すいません、お嬢様。つい嬉しくて力が入ってしまいました」
「あのあと、あの兄妹はどうしたのかしら?」
「旦那様の指示で家に帰らせたようです。お嬢様が一般人の子供に滑り台から突き落とされたなんて事件が世間に明るみに出たら白川家の評判に傷がついてしまうからと」
「お父様らしいわね。別に文句はないわ」
彼のことは好きだけど、あの妹と関わるのは2度とごめんだわ。
命がいくつあっても足りない。
西島香澄…
絶対にこのことは忘れない。
病院に緊急搬送されて数日後に私は退院した。
さらにそれから数日後に私はお父様の言いつけでアメリカに引っ越すことになった。
さんざん好き勝手をしてきた報いだった。
何だかんだ言っても私はただの小学生で、お父様の命令には逆らえなかった。
だから2つ返事でアメリカ留学を了承した。
また、向こうにもお父様のお屋敷があり、そこで暮らすことが決まっていた。
そのことは彼には伝えないでおいた。
理由は別れるのがツラかったから。
彼の顔を見たら、行きたくなくなってしまうのがわかっていたから。
出発当日。
今日の午前のアメリカ行の飛行機で出発することになっており、9時過ぎには空港に到着していた。
お父様とお母様には屋敷を出る前に挨拶を済ませているし、2人とも忙しいので見送りには来られなかった。
私は執事の柊木と一緒に行くことになっていた。
登場時間までは時間があったので、柊木の勧めで空港内にある喫茶店に入ってコーヒーを飲んでいた。
「柊木、そろそろ搭乗の時間よね?」
「さようでございます」
「早く行きましょ」
「承知致しました」
それから搭乗口に向けて歩いているけど、前を歩く柊木はいつもよりも歩くスピードが遅いように感じられた。
何年も私の前を歩いている柊木を何百何千と見てきているのだから、ちょっとした変化でも私にはわかる自信はある。
「柊木、遅いわよ。もっと早く歩きなさい」
「お嬢様、少しラウンジで休ませてもらってもよろしいですか?」
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「ちょっと…」
「そう、まだ時間はあるから少し休みましょう」
「ありがとうございます」
それから椅子に座って柊木の体調の回復を待ったけど、こんなところで少しくらい休んだくらいで良くなるとは思えなかった。
こうしている間にも、搭乗時間は刻一刻と迫ってきていた。
「柊木、もう行かないと遅れてしまうわ」
「そうですね…致し方ありませんね」
「大丈夫?歩ける?」
「はい、問題ございません」
そう言って立ち上がり、歩きだした柊木はいつもの柊木に戻ったようで、とてもさっきまで調子が悪いと言っていたのが嘘のようだった。