パパLOVE
そして私が歩きながら涙を流していると、柊木が私のもとにやって来て、そっと肩を抱いてくれた。

「ツライわ…」

「そうですね」

「悲しいわ…」

「そうですね」

「苦しい…」

「そうですね」

「そうですねしか言えないの?」

「そうですね…1つだけ言えるのは、私はこれからどんな時もお嬢様のそばにいます。お嬢様がツラく悲しく苦しくならないように尽くしていきます。だから安心して下さい。だからもう涙を流さなくて大丈夫です。全て私にお任せ下さい」

「執事のくせに生意気なことを言うんじゃないわよ」

「かしこまりました」

そして私は飛行機に乗って日本を経った。

アメリカではブレアリ―校というニューヨーク市にあるお金持ちしか通うことが許されない私立女子校に入学した。

もともと5か国語を話せる私にとって海外での学校生活で困ることは何一つなかった。

しかも海外でも日本で3本の指に入る大金持ちの白川家を知らない生徒は殆んどいなくて、私に取り入ってくる学校の生徒は沢山いた。

そんな連中はうっとしいぐらいにいたけど、便利なところもあるので我慢することにした。

アメリカに渡って来て数ヶ月が経った頃、柊木から悲報を言い渡された。

何度かお会いしたこともあったし、とても穏やかで優しくてきれいな人だったから亡くなったと聞いた時はショックだった。

お葬式があるというので柊木と一緒に1度日本に帰国して葬儀に参列させてもらった。

大切な人が亡くなるというのは胸が張り裂けそうなくらい苦しいものだと痛感した。

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