パパLOVE
「だったら何なのかしら?」

「なみちゃんっ」

彼は私の言葉を待たずに私を抱き寄せ抱きしめてくれた。

私は彼の胸に顔を押し当て、体全体で彼を感じようとした。

「ずっと会いたかった」

「本当にそう思ってるのかしら?」

「思ってる。何度も会いに行こうとしたんだ」

「でも、来なかったわよね。本気で会いたかったら全てを捨ててでも会いに来るべきだったんじゃないの?」

会いたかったと言われた時、彼の腕の中で声を上げて泣き出しそうになった。

生きてきた人生の中でもベスト10に入るくらい嬉しい出来事だった。

「何度も会いに行こうとしたよ。連絡を取ろうともしたよ。でも、誰も僕のことなんか相手にしてくれなかった。誰も味方してくれる人がいなかったんだ。僕となみちゃんとでは生きる世界が全然違ったし、僕のような一般の庶民が気軽に話せるような身分じゃなかったんだよ」

「何それ?ふざけないで。私はあなたに…」

それ以上は言えなかった。

それ以上言ってしまうとしたら、彼への愛の告白になってしまうから…。

「三枝くん、こんな女ほっといて行きましょう」
「そうよ、行きましょうよ」

彼のファンは彼の手を握り、腕を組むと無理矢理に連れて行ってしまった。

「ちょっと、まだ話しは終わってなくってよ」

「お嬢様、今回はこのへんで。快斗とは小学3年の時から一緒におるけど、アイツの言うとおりなんべんもお嬢様に会いに行こうとしとったんよ。お嬢様の住所を聞き出そうとなんべんもなんべんも白川家を訪ねたんや。せやけど、旦那様と奥様は一切取りおうてくれまへんでした。お嬢様が快斗に夢中になってフィアンセとのデートやパーティーに行けへんかったことに大変ご立腹やった。それに大切なお嬢様を滑り台の上から突き落とした犯人の兄である快斗を許してへんかったんですから」

「そんな…」
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