パパLOVE
「詩美も知りたいの?意外ね」

「当たり前だろ」

「まるで親友みたいな言い方じゃないの?」

「親友だよ。うちと香澄は親友だ」

「あら、いつからそんな関係に?私はあなたにそんなことを命令した憶えはないわ」

「白川のお嬢様には関係ないことだ。あいつとは私の意思で親友になった」

「ちょっと待って。詩美ちゃんも白川さんも何の話しをしているの?2人はどういう関係なの?」

「日野舞香さん、あなたが知りたいのはそんなことじゃないわよね?あなたが知りたいのは西島香澄の秘密…」

「そうですけど…」

「だったら教えてあげるわ。でも、聞いてしまったら後戻りは出来ないわよ。覚悟なさい」

「はい…」

「あぁ、わかってる」

妹の親友である日野舞香には教えといた方が都合が良さそうだった。

そしてもう1人…私に雇われていながら自分の意思で勝手に妹と友達になった詩美。

どちらにも真実を伝えといた方が何かあった時の助けになる。

「西島香澄と三枝快斗は実の兄妹よ」

「兄妹?」

「は?何言ってるんだ?」

「香澄ちゃんと三枝先輩が兄妹?そんな訳ないですよ。香澄ちゃんは何も言ってませんでしたよ」

「言ってないんじゃない。言えないのよ。だって西島香澄は記憶を失ってしまっているんだから」

「そんなこと信じられる訳ないです」

「デタラメ言ってんじゃねえよ」

こんなこと突然言われて信じろという方がおかしいに決まってる。

「気持ちはわからなくもないけど真実よ」

「仮に香澄ちゃんと三枝先輩が兄妹だとして、2人が別々に暮らしているのは両親の離婚が原因なんですか?」

「そこまで知る必要があなたたちにある?知ってどうするの?知ったところでって感じよね」

「そうですけど…でも、知ることで香澄ちゃんを助けてあげられることがあるかもしれないですし」

「そう、なら全てをお話して差し上げますわ」

それから私は2人に私が知っている西島香澄の真実の全てを話してあげた。

全てを知ってしまった2人は血の気が一気に引いてしまったらしく青ざめた顔をしていた。

一言も言葉を発しようとはしなかった。
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