パパLOVE
「あなたたちは所詮その程度の人間なのよ。西島香澄を救うことなんか出来ないわ。私は教室に戻らせて頂きますわ」

私は階段を登り始めたけど、2人は階段の踊り場で静かに抱き合っていた。

それからの2人がどのように西島香澄と接しているのはわからない。

でも、Lから聞いた話だと2人は私が話したことを妹には一切話してはいないということらしい。

ただ、あのあと教室に戻った詩美と妹は喧嘩をしたらしく、別々の行動を取っているらしい。

そしてそれから数日後、西島香澄はインフルエンザに感染し、5日間程度学校を休んでいた。

よせばいいのに、妹は父親に会いに行ってしまい、父親にインフルをうつしてしまった。

あのバカのせいで彼もインフルになり、学校を5日感も休むことになってしまった。

それから妹は彼よりも数日早く学校に登校して来た。

教室で何があったのかは知らないけど、妹と詩美は取っ組み合いの喧嘩になり、職員室に呼び出されていた。

その日の放課後、下駄箱で靴に履き替えていると隣のクラスの下駄箱から妹と日野舞香の話し声が聞こえてきた。

そこで妹は父親の会社に行くと言った。

でもそれは父親に会いに行くのではなく、父親にちょっかいを出している女性を見に行くというものだった。

嫌な予感が脳裏をよぎった。

あの妹がただ見に行くだなんてあり得ない。

もしかしたら、その女性に危害を加える恐れがある。

普通ならこんな話信じられないかもしれないけど、彼の妹は冗談抜きでそういうことをする。

好きな人の為なら私にやった時のように殺そうとするだろう。

だから私は妹のあとを尾行してついて行った。

妹は駅で上りの電車に乗ると新宿駅で降りて、ある会社の前までやって来た。

妹は退社時間の17時になるまで外で隠れて待っていた。

そしてとうとう17時になり、仕事終わりの会社員たちが続々と会社の入口のドアから出て来た。

しばらく待っていると、妹の父親の西島彰が若い女性と一緒に笑いながら出て来たので、妹を見てみると、ものすごい形相で女性を睨みつけていた。

それから妹は隠れながら父親と女性のあとをついて行き、私もそのあとを追った。

女性は父親に好意があるらしく、父親と腕を組んだり、ドサクサに紛れて抱きついていた。

流石にこれは、妹じゃなくてもイラッとすると思った。

駅に到着すると、父親と女性は別れて、父親は改札口に向けて歩き出し、女性は駅に隣接しているデパートの中に入って行った。
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