パパLOVE
時にはいずみんを外に連れ出して自転車で海水浴場や道の駅南房パラダイスに行って時間を潰した。

誤解されると嫌なので最初に言っておくと、私はいずみんに同情している訳でも嫌々でやってる訳でもない。

私はいずみんが大好き。

世界で1番いずみんが好き。

嫌いになったことなど1度もない。

たとえ世界を敵にまわしても、いずみんだけは守るつもり。

私といずみんは幼少期の時から同じ部屋で過ごしていた。

部屋では一緒に宿題をやったり、一緒にまんがや雑誌を読んだり、一緒に好きなアイドルの曲を聞いたり、一緒にテレビゲームをやったりした。

お風呂は一緒に入って、寝る時は1つのベッドで一緒に寝た。

何をするにもどこへ行くにも必ず一緒だった。

洋服も靴もお揃いのものを買ってもらって着ていたし、いずみんが買うものは絶対に私も買ってもらった。

少しずつ大人になるにつれてわかったことは、私よりもいずみんの方が女子力が高いということ。

髪型とか洋服選びとか髪を洗うシャンプーの香りとか、衣類の洗剤や柔軟剤の香りにもうるさかった。

それにキレイ好きなので部屋が散らかっているのをスゴく嫌がり、いつも掃除や整理整頓を欠かさなかった。

また、いずみんは料理をするのが好きで、母の夕食の手伝いを一緒になってやっていた。

いずみんは料理ノートと言うものを持っていて、母から料理の仕方、食材の切り方、調味料の量、レシピなどをそれに記録していた。

将来は料理の得意な良い奥さんになるに違いない。

逆に私はおしゃれにも身だしなみにも全く興味がなく、女子力はほぼ0に等しかった。

私がおしゃれで女子力が高そうに見えるのは、私がいずみんと同じものを所持し、いずみんにおしゃれをさせられているから。

いずみんがいなかったら私はおしゃれとは程遠い世界に生きていたに違いない。

私を可愛いとか言う友達がいると、私のことなんて何もわかっていないなと思ってしまう。

その他にも、いずみんは落書き帳にドレスのデザイン画を描くのが好きだったし、得意だった。

将来はウエディングドレスやパーティドレスなどをデザインするデザイナーの仕事につきたいと言っていた。

私がいずみんに勝てるものって中々ない。

でも、たった1つだけいずみんに勝てるものが私にはあった。

幼稚園生の時から習い始めたピアノだった。

いずみんがやりたいということで習い始めたピアノだけど、意外や意外、今でも続けているのはいずみんではなく私だということ。

どう見ても、ピアノに向いているのはいずみんだけど、いずみんは1週間ほどで直ぐにやめてしまった。
< 310 / 422 >

この作品をシェア

pagetop