パパLOVE
「おいしぃ〜」

タレが美味しいのはさながら、お肉がとっても柔らかくて口の中に入れるとホロホロってとろけてしまった。

いくらでも食べられるような絶品の焼き鳥だった。

飲み物も自然と進んでゴクゴク飲めた。

「まだまだあるから、いっぱい食べな。タレだけじゃなくて、塩も注文してあげるよ」

パパは店員さんを呼んで、今度は焼き鳥の塩を注文してくれた。

飲み物もパパはビールをおかわりし、私はノンアルコールの梅酒を注文した。

それから塩の焼き鳥が運ばれてくるまで間、パパと2人でタレの焼き鳥を少しずつ色んな種類を食べていった。

食べ終わる頃、ようやく焼き鳥が運ばれてきた。

「うまっ」

塩味も絶品で、こんなに美味しい焼き鳥は生まれて始めて食べた。

食べ物で感動して、涙が出そうになったのも初めての経験だった。

ママにも持って帰ってあげたくなった。

「お持ち帰り用の焼き鳥を頼んでもいい?」

「いいけど、そんなに美味しかった?」

「こんなに美味しい焼き鳥は食べたことない。だからママにも食べて欲しい」

「そうか、香澄は優しいんだね」

「ママのは私が支払ってもいい? 私のバイト代から買ってあげたいの」

「そうしてあげるといい」

「うん」

それから、ママへのお土産の焼き鳥を受け取ってから店をあとにした。

パパに家に来るかと聞かれたけど、今日は早くママにお土産を届けたかったので家に帰ると言った。

パパは私の家まで送ってくれた。

帰りの途中でコンビニに寄ってくれて、そこでアイスを買ってもらった。

私はチョコミントのソフトクリームを買い、パパはチョコモナカのアイスを買い、家に向かいながら食べた。

パパのも食べたくなったので、交換っこをしてもらった。

私がペロペロしたアイスをパパが食べている。

それだけのことなのに何だか嬉しくて興奮した。

ふとパパを見ると、口元にアイスがついていた。

それが妙にかわいく見えて愛おしかった♡

「パパ、アイスついてるよ」

「ホントに?」

「ちょっと待って。取ってあげる」

私はそう言うと、少し背伸びをしてパパの口元についたアイスをペロッと舐めた。

やってから、自分がしたことの恥ずかしい行為に気付いて顔が真っ赤になった。
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