パパLOVE
「やめてっ」

私は舞香の手を振り払って軽く突き飛ばした。

「お前、舞香に何してんだよっ」

詩美は私を睨みつけながらそう言った。

「うるさいな。ほっといてよ」

「お前に何があったのか知らないけど、舞香にあたるなよ」

「マジうざい」

私はそう言い残すと、椅子から立ち上がり廊下に向かって歩き出した。

「香澄ちゃんっ」

舞香の私を引き止める声を無視して教室を出て行った。

舞香は何も悪くないのに、私って本当にヒドい。

詩美はそんな私を見て怒っていた。

舞香だって怒ったに違いない。

嫌われたかもしれない。

色んな思いが交錯して、目から涙が溢れ出した。

「西島さんっ」

廊下をしばらく歩いていると遠くから私の名前を呼びながら近づいてくる、今会いたくないベスト１の三枝先輩がやって来た。

「西島さん、どうしっ‥」

「うるさいっ」

パシっ――

この前のファミレスの件や、先日私を無視して他の女の子とお喋りをしていたのを思い出したら怒りが込み上げてきて、気付いたら手が出てしまっていた。

そして私は彼の顔を思い切りひっぱたいたあと、振り返ることなく屋上へと続く階段を駆け上がって行った。

屋上に出るとフェンスを掴みながら遠くに見える高層ビルや街並みを見ながら途方に暮れていた。

キーンコーンカーンコーン――

朝のホームルームが始まるチャイムが鳴り始めた。

でも教室に戻る気には全くならなかった。

今日も授業をふけちゃおうかな。

でもそんなことをしたら、学校からママに連絡がいって呼び出されちゃうかもしれない。
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