パパLOVE
「私の気持ちは詩美や舞香が自分の父親に対する感情とは違うの?」

「香澄ちゃん、それは…」

「違う」

どういうこと?

私のパパに対する気持ちは何が違うの?

「普通じゃないってこと?」

「そんなことないよ」

舞香はそうは言ったけど、目を合わせようとはしなかった。

「私って変なの?」

「変と言えば変なのかもしれない。でも、愛情の形って色々あるから一概には言えないんじゃないか」

「香澄ちゃん、香澄ちゃんのお父さんに対する感情が間違っているって言ってんじゃないの」

「でも、普通の子供が父親に抱いている感情とは違うんでしょ? だったらやっぱり変じゃん」

「うちらは反対はしない。いつでも香澄の味方だ」

「そうだよ、香澄ちゃんには私と詩美ちゃんがついてるよ」

「ありがとう」

私って変なんだ。

パパに抱いている感情は普通の人とは違うんだ。

だったら、普通の人が抱いている父親に対する感情って一体何なの?

会いたいって思わないの?

抱き合いたいって思わないの?

キスしたいって思わないの?

全てを捧げたいって思わないの?

他の人はパパと何がしたいの?

何をしてもらいたいの?

「ちなみに、2人は自分のパパに対してどういう感情?」

「あんまり考えたことないけど、いつも家族のために頑張って仕事してくれて感謝してるし、頼りになる存在だと思っている」

「うちは父親が病気がちで入退院を繰り返しているから余り会ったり話したりは出来ないけど、大切な存在ではあるな」

「そうなんだ…」

それからも、2人に父親とかの接し方などを色々聞いたけど、私とは全然違かった。

2人からしたら私は変だし普通じゃないのかもしれないけど、私からしたら2人の方が変だった。
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