パパLOVE
「何ですか?教室に来るのやめてもらっていいですか?」

「ゆっくり話がしたいんだ」

「何でですか?私は話すことなんてありません。それに私のことよりもっとファンの人を大切にしてあげた方がいいんじゃないですか?」

「大切にしてるし、いつも応援してもらって感謝してる。でも、僕が今話がしたいのは君なんだ。」

この人はどれだけアンポンタンなんだ。

何もわかってない。女性の嫉妬の恐ろしさと女同士のバチバチした関係をわかっていない。

案の定、三枝のうしろにいるファンの女子に目を向けると、ものすごい形相で私を睨みつけていた。

あ〜言わんこっちゃない。

「ちょっとごめんなさい」

うしろから声をかけられたので振り返ると、そこには学年一の美人と言われている白川奈未が立っていた。

そう言えばこの前、三枝先輩と一緒にいたのを見たんだった。

「西島さん、こうして面と向かって話すのは小学生以来ね」

「そうでしたっけ?」

「憶えてないのかしら?まぁ、色々あったみたいだから仕方ないわね」

「はぁ…」

「今はお父さんと離れて暮らしてるそうね?」

「えぇ、それが何か?」

「なら誰と一緒に暮らしてるの?」

「誰って、ママに決まってるでしょ」

「そうね、お母さんに決まってるわね」

白川奈未は私に向かって不敵な笑みを浮かべていた。

何なの?

母子家庭のうちの家庭をバカにしてるの?

ふざけないで!

「そんなことを言うためにここに来たんですか?」

「あなたには興味はないわ。ようがあるのは三枝先輩によ」

白川奈未は挑発的な態度で私にそう言ってきた。
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