パパLOVE
「もしかして気付いたのかい?」

「いぇ…」

私が三枝先輩の気持ちに気付いたなんて言ったら、先輩はそれ以上のことを期待してしまうかもしれない。これ以上傷つける訳にはいかない。

「違うの?」

「違います」

先輩は私が気持ちを知ったことに気付いている。

「ホントに?」

「えぇ…ごめんなさい」

でもあくまで白を切り通すと、三枝先輩は悲しそうな顔をした。

気持ちを知ってもらいたかったのが、スゴく伝わってきて胸が苦しくなった。

「あら、2人もこんなところで何をしていたのかしら?」

重苦しい雰囲気の中、互いに何も言い出せないでいると、白川奈未が突然現れた。

「別に何もしていないよ」

「そう。西島さん、あなたに報告しとくわね。私と三枝先輩は付き合ってるの。残念だったわね」

「白川さん…そんなこと言う必要はないよ」

「いいえ、必要よ。大切なことよ。だから、先輩、この場で私にキスをしてもらってもいいですか?」

「キス?」

「出来ますよね?出来ないなんて言いませんよね?出来ないなら、わかりますよね?あなたの大切な西島さんが実はいっ‥」

「わっ‥わかった。キスでも何でもするから」

すると、三枝先輩は白川さんを抱きしめたあと、私が見ている前で唇と唇を重ねていた。

信じられない…。

何でわざわざ私の目の前でそんなことしてるの?

意味わかんない。

私は頭にきて、2人を突き飛ばしたあと全力で階段を駆け上がり、自分の教室に全力疾走で向かった。

別に嫉妬した訳じゃないし、傷ついたりした訳じゃない。

ただ、何の必要があってあんなことをしたのか謎だっただけ。

「はぁ、はぁ、はぁ…」
息を切らしながら教室に入って行くと、直ぐに舞香と詩美が駆け寄って来てくれた。
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