龍神様のお菓子
プロローグ
昔々、はるか昔、龍の神様がおりました。
龍の神様は人間界に雨を降らせる役割を担っておりましたが、毎年人間から捧げられる供物に飽き飽きしておりました。そして遂に、雨を降らすことをやめ龍の大穴へと引きこもるようになってしまいました。
中々雨を降らしてくれない龍神様に、人間は大層困り果てました。ありとあらゆる供物を捧げましたが、雨は一向に降りません。このままでは畑の作物は全て枯れ果て、自分達も飢に苦しむ可能性が出てきました。
そんな時、村一番の呪い師《まじないし》がいいました。
「雨が降らないなら生贄を捧げないとね」
そこで白羽の矢が立ったのは村一番の美少女、小松夢子《こまつゆめこ》でした。
夢子には両親がおりません。天涯孤独の少女を村人は容赦なく龍の住む大穴へと放り込みました。
突然、身ぐるみ一枚で寒い大穴に放り込まれた夢子は、一晩中泣明かしました。
母の名を呼び、父の名を呼び、そして最後には龍神様に命乞いをしました。すると、そんな夢子の願いが通じたのか龍神様はこう言いました。
「ならば、ここにある食材で俺の腹を満足させる物を作ってみろ。さすれば貴様の命、救ってやらんこともない」
夢子は必死に考えた末、昔母から教わった草団子を作ることにしました。しかし、出来栄えは最悪。恐る恐る龍神様にそれを差し出しましたが「これが、俺の腹を満足させる物か?」と顔を顰めてしまいました。
夢子はぎゅっと瞳を閉じて涙を流しました。もう自分の命はここまでだと諦めかけた夢子でしたが、意外にもその草団子が気に入ったのか龍神様は、次から次へとその草団子を口へと放り込みました。
「形は悪いが中々美味だな。よし、これからお前は俺の料理番としよう」
龍神様はそう告げると、約束通り夢子を生かしました。そして、夢子が死ぬその時まで二人は夫婦の様に仲睦まじく過ごしたのでした。
龍の神様は人間界に雨を降らせる役割を担っておりましたが、毎年人間から捧げられる供物に飽き飽きしておりました。そして遂に、雨を降らすことをやめ龍の大穴へと引きこもるようになってしまいました。
中々雨を降らしてくれない龍神様に、人間は大層困り果てました。ありとあらゆる供物を捧げましたが、雨は一向に降りません。このままでは畑の作物は全て枯れ果て、自分達も飢に苦しむ可能性が出てきました。
そんな時、村一番の呪い師《まじないし》がいいました。
「雨が降らないなら生贄を捧げないとね」
そこで白羽の矢が立ったのは村一番の美少女、小松夢子《こまつゆめこ》でした。
夢子には両親がおりません。天涯孤独の少女を村人は容赦なく龍の住む大穴へと放り込みました。
突然、身ぐるみ一枚で寒い大穴に放り込まれた夢子は、一晩中泣明かしました。
母の名を呼び、父の名を呼び、そして最後には龍神様に命乞いをしました。すると、そんな夢子の願いが通じたのか龍神様はこう言いました。
「ならば、ここにある食材で俺の腹を満足させる物を作ってみろ。さすれば貴様の命、救ってやらんこともない」
夢子は必死に考えた末、昔母から教わった草団子を作ることにしました。しかし、出来栄えは最悪。恐る恐る龍神様にそれを差し出しましたが「これが、俺の腹を満足させる物か?」と顔を顰めてしまいました。
夢子はぎゅっと瞳を閉じて涙を流しました。もう自分の命はここまでだと諦めかけた夢子でしたが、意外にもその草団子が気に入ったのか龍神様は、次から次へとその草団子を口へと放り込みました。
「形は悪いが中々美味だな。よし、これからお前は俺の料理番としよう」
龍神様はそう告げると、約束通り夢子を生かしました。そして、夢子が死ぬその時まで二人は夫婦の様に仲睦まじく過ごしたのでした。