助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
大きな魔力を使うことになったメルはその場に崩れかけ、そこを隣にいたラルドリスが受け止めてくれた。シーベルがメルの意図を継ぎ、村長を促す。
「さあ村長、早く収穫の号令を」
「あ、ありがたい……! 皆の者、この魔女殿に感謝を! それからすぐに村人たちを掻き集め、畑中の作物を収穫して回ろうぞ!」
「おおっ!」
村人たちは大きく活気づき、日暮れも近いのに子供から大人までが総出で作物を運び出す。
その光景を見ながら、メルは少しだけ悲しそうにしていた。
「見事な魔法だったな。あのようなことができるのに見習いと名乗るなど、謙遜もいいところじゃないか」
肩を支えるラルドリスが明るく褒めてくれるが、メルは苦笑いで応えただけだ。
「私の力じゃありません。あの灰は、祖母の使っていた杖の名残だったんです」
「――! ……そんな大事なものを、どうして見ず知らずの人たちのために?」
「さあ村長、早く収穫の号令を」
「あ、ありがたい……! 皆の者、この魔女殿に感謝を! それからすぐに村人たちを掻き集め、畑中の作物を収穫して回ろうぞ!」
「おおっ!」
村人たちは大きく活気づき、日暮れも近いのに子供から大人までが総出で作物を運び出す。
その光景を見ながら、メルは少しだけ悲しそうにしていた。
「見事な魔法だったな。あのようなことができるのに見習いと名乗るなど、謙遜もいいところじゃないか」
肩を支えるラルドリスが明るく褒めてくれるが、メルは苦笑いで応えただけだ。
「私の力じゃありません。あの灰は、祖母の使っていた杖の名残だったんです」
「――! ……そんな大事なものを、どうして見ず知らずの人たちのために?」