助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「美味しかった?」
「チュイ!」
残りの食事を終え、いつも通り元気に返事を返したチタを撫でてやると、メルはさてどうするかと考え込む。
薬作りもいいし、森の中にその材料を探しに行くのもいいだろう。
川への水汲みや薪になる枝を集めたり、作った在庫を街に卸しに行くというのもありだ。
「よし、久し振りに遠出しよっか……!」
祖母のことを思い出して寂しさが募ったメルは、気分を変えるため街に向かうことを決める。そうと決まれば手早く準備を進めなければ。
一番最寄りのサンチノという街でも、歩けばメルの足で三時間。近場といえど、普段森から出ない彼女からしたら十分な遠さだ。まだ日は高いが、なにかのはずみで帰りが遅れ、夜の森をうろつくことになっては敵わない。
祖母に教えてもらい作った傷薬や毒消し、痛み止めやいい匂いの髪油、美容クリームなど――小瓶に入れた種々の薬を皮のリュックに詰め込んで、メルは早いうちに家を出た。
チタは自分の指定席である、リュック側面のポケットに潜り込む。
「チュイ!」
残りの食事を終え、いつも通り元気に返事を返したチタを撫でてやると、メルはさてどうするかと考え込む。
薬作りもいいし、森の中にその材料を探しに行くのもいいだろう。
川への水汲みや薪になる枝を集めたり、作った在庫を街に卸しに行くというのもありだ。
「よし、久し振りに遠出しよっか……!」
祖母のことを思い出して寂しさが募ったメルは、気分を変えるため街に向かうことを決める。そうと決まれば手早く準備を進めなければ。
一番最寄りのサンチノという街でも、歩けばメルの足で三時間。近場といえど、普段森から出ない彼女からしたら十分な遠さだ。まだ日は高いが、なにかのはずみで帰りが遅れ、夜の森をうろつくことになっては敵わない。
祖母に教えてもらい作った傷薬や毒消し、痛み止めやいい匂いの髪油、美容クリームなど――小瓶に入れた種々の薬を皮のリュックに詰め込んで、メルは早いうちに家を出た。
チタは自分の指定席である、リュック側面のポケットに潜り込む。