助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「なぜとは問うまいな……。ああ、よく知っている。ティーラ・マーティル……マーティル侯爵家の一人娘、そして……兄ザハールの、婚約者だ」
「――――!!」
メルは強く心を保とうとした。しかし、
「メル!?」
ぐらっ――と視界が揺れた。胸の奥で、心臓を杭で貫くような鋭い痛みが苛み。
彼女が繋ぎ止めようとした意識をバラバラに砕いていく。
『――メル、あなたが邪魔なのよ。消えてちょうだい?』
あの時最後に見た姉の優しげな笑みが、鮮明に浮かんだ。
「しっかりしろ、メル!」
その場ではラルドリスの声が大きく響いていたが、メルはそれどころではなかった。
されるがままに彼に抱えられ、激しい動悸が襲う胸を必死に抑えながら、か細い声で喘ぐのがやっとだったのだ。
(どうして……)
「――――!!」
メルは強く心を保とうとした。しかし、
「メル!?」
ぐらっ――と視界が揺れた。胸の奥で、心臓を杭で貫くような鋭い痛みが苛み。
彼女が繋ぎ止めようとした意識をバラバラに砕いていく。
『――メル、あなたが邪魔なのよ。消えてちょうだい?』
あの時最後に見た姉の優しげな笑みが、鮮明に浮かんだ。
「しっかりしろ、メル!」
その場ではラルドリスの声が大きく響いていたが、メルはそれどころではなかった。
されるがままに彼に抱えられ、激しい動悸が襲う胸を必死に抑えながら、か細い声で喘ぐのがやっとだったのだ。
(どうして……)