助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
ベッドから跳ね起きたメルに驚いたのは、確かこの宿のおかみさんだ。人のよさそうなふっくらした顔に付くふたつの目がぱちくりと見開かれている。
と、同時に頭の上から何かがころころ転がった。
「キュィ……?」
チタだ、どうやらメルの頭の辺りで一緒に眠っていたらしい。
つぶらな瞳の彼に触れ、現実に戻ったことを実感すると、メルはおかみさんに勢い込んで尋ねる。
「あ、あのっ! い、今はいつですか……!? 私が倒れてからどのくらい経ってます!? ラルっ……つ、連れの人たちは」
「ちょいと、起きたばっかりだから大人しくしてなきゃだけだよ! あんたが担ぎ込まれてから一日半くらいかねぇ……。連れのほら、背の高い男前の兄さんが、急ぐ旅だからあんたのことをよろしくって頼んだのさ」
「先に出たんですか!?」
「こら、寝てなって!」
「大丈夫ですっ! それより、私行かなきゃ!」
こうしてはいられない。メルはおかみさんの制止も聞かずに気よくベッドから飛び出すと、黒ローブを引っ張り出し頭を突っ込んだ。
と、同時に頭の上から何かがころころ転がった。
「キュィ……?」
チタだ、どうやらメルの頭の辺りで一緒に眠っていたらしい。
つぶらな瞳の彼に触れ、現実に戻ったことを実感すると、メルはおかみさんに勢い込んで尋ねる。
「あ、あのっ! い、今はいつですか……!? 私が倒れてからどのくらい経ってます!? ラルっ……つ、連れの人たちは」
「ちょいと、起きたばっかりだから大人しくしてなきゃだけだよ! あんたが担ぎ込まれてから一日半くらいかねぇ……。連れのほら、背の高い男前の兄さんが、急ぐ旅だからあんたのことをよろしくって頼んだのさ」
「先に出たんですか!?」
「こら、寝てなって!」
「大丈夫ですっ! それより、私行かなきゃ!」
こうしてはいられない。メルはおかみさんの制止も聞かずに気よくベッドから飛び出すと、黒ローブを引っ張り出し頭を突っ込んだ。