助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
こめかみから汗を伝わせたラルドリスの質問に、シーベルも目元を険しくしている。
何とか突破口を探そうと、彼はラルドリスに当時を思い返させた。
「我々を殺そうというのだし、実体はあるのでしょうが……先の戦いではどのような様子だったのです?」
「見た目通りの荒ぶりようだったぞ。そして、こちらも反撃したが、剣や槍、火矢などもたいして効いている様子はなかったな。まるで粘土でも切りつけているようだと誰かが言っていた。ただ……攻撃すれば一時的に身体の一部は削れていたように思う」
「そうですか。単に物量が足りなかっただけかもしれませんね……ならばっ!」
そこで前触れもなくシーベルの手が閃いた。彼は奇術師の如き手際で腰のポーチからマッチを取り出して擦ると、同時に握った丸い塊から伸びる紐を燃やし、一息に投げ放つ。
「――なんだっ!?」
「殿下、目を閉じて!」
「おいっ!」
次いでシーベルはラルドリスを地面に組み伏せると、その耳を両手で塞いだ。
黒い塊は放物線を描いて丁度魔物の頭上に達し、そして――。
何とか突破口を探そうと、彼はラルドリスに当時を思い返させた。
「我々を殺そうというのだし、実体はあるのでしょうが……先の戦いではどのような様子だったのです?」
「見た目通りの荒ぶりようだったぞ。そして、こちらも反撃したが、剣や槍、火矢などもたいして効いている様子はなかったな。まるで粘土でも切りつけているようだと誰かが言っていた。ただ……攻撃すれば一時的に身体の一部は削れていたように思う」
「そうですか。単に物量が足りなかっただけかもしれませんね……ならばっ!」
そこで前触れもなくシーベルの手が閃いた。彼は奇術師の如き手際で腰のポーチからマッチを取り出して擦ると、同時に握った丸い塊から伸びる紐を燃やし、一息に投げ放つ。
「――なんだっ!?」
「殿下、目を閉じて!」
「おいっ!」
次いでシーベルはラルドリスを地面に組み伏せると、その耳を両手で塞いだ。
黒い塊は放物線を描いて丁度魔物の頭上に達し、そして――。