助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「チチッ!」
「……なら、一緒にあいつをやっつけよう!」

 メルは魔物の視界を土で塞いだ後、素早くチタを地面に置いてある呪文を詠唱した。

「『悠久の大地よ、世の理を乱す者に抗うべく、大いなる力をこの者へ貸し与えたまえ!』」

 ふたりを中心として、燐光を放つ大きな緑色のサークルが現れ、それはチタにむかって小さく収束していく。と同時、なんとチタの身体がどんどん縦に、横に膨張していく。

「よいしょ……!」

 一抱えからメルの背丈を越え、馬よりも大きく――その辺りでメルは彼の背中に捕まった。そしてチタは最終的に、魔物と同等のサイズまで成長した。

「ヂュアアッ!」
「よし、いくよっ! 頭以外を中心に攻撃して! うわわわぁっと……」
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