助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
 祖母は自然のことを何でもわかっていた。いつ空が乱れるのかも、いつ花が咲くのかも、、いつ大地が震えるのかも、そのすべてを……。
 今のメルは、そんな彼女には到底及ばない。
 けれど、魔力が集まっている場所を、見抜くだけなら……!

「――見えた!」

 魔物の腹部やや下に、強い紫暗のきらめきが走った。

「チタ、お腹を狙って!」
「ヂッ!」

 さすが相棒。皆まで言わずとも直ちにチタは要求に答えてくれた。
 タタッと助走して急加速すると、体当たりするようにして魔物の腹部に頭突きを捻じ込む。

 ――ミシッ!

「グルアウゥッ!」
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