助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「確かお前は、アルクリフ王国騎士団・第三大隊麾下の小隊長だったな?」
「……私のような下僚の顔を……御存じだったのですか」
「俺のようなぼんくらとて、城に出入りする者の身辺くらいは頭に入れている。いいだろう、その命だけは助けよう。だが、お前は以後は俺に仕え、ザハールをから継承権を剥奪する手助けをしてもらう」
「……!」
居住まいを正した男の驚愕を意に介さず、ラルドリスは彼を冷たく見下ろした。
「働き次第では此度の罪をも贖えよう。新しい国家体制で重要な位置に就けることも考えてやる。では、即刻手下の者をまとめ、一度城へ帰還せよ」
「……仰せのままに」
感じ入ったように小隊長は兜を地面に擦ると、兵士たちの生き残りを確認しながら撤収の準備を始めた。
王族たる立場を見せつけた彼の顔を見て、近寄りがたくなってしまったメルに、ラルドリスはふうと息を吐くといつもの顔を向けた。
「メル」
「はいっ」
「……私のような下僚の顔を……御存じだったのですか」
「俺のようなぼんくらとて、城に出入りする者の身辺くらいは頭に入れている。いいだろう、その命だけは助けよう。だが、お前は以後は俺に仕え、ザハールをから継承権を剥奪する手助けをしてもらう」
「……!」
居住まいを正した男の驚愕を意に介さず、ラルドリスは彼を冷たく見下ろした。
「働き次第では此度の罪をも贖えよう。新しい国家体制で重要な位置に就けることも考えてやる。では、即刻手下の者をまとめ、一度城へ帰還せよ」
「……仰せのままに」
感じ入ったように小隊長は兜を地面に擦ると、兵士たちの生き残りを確認しながら撤収の準備を始めた。
王族たる立場を見せつけた彼の顔を見て、近寄りがたくなってしまったメルに、ラルドリスはふうと息を吐くといつもの顔を向けた。
「メル」
「はいっ」