助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
 傷は負っているようだが、変わりなくへらへらした笑みを浮かべるシーベルに安堵しつつ、ラルドリスが肩を担ぎ上げた時だった。

「む、あれは……?」

 彼の表情にまた緊張が走り、メルも反射的にその方向へ目を向く。
 うっすらとだが、迫る砂塵……あれは!?

「騎馬隊じゃないですか!?」
「く……新たな追手か!? メル、馬は二頭出せないか?」
「無理なんです……同時には! とりあえずシーベル様とラルドリス様だけでも乗って、先に逃げて下さい! 私は後でどうにでもなりますから」
「そんなわけにいくかよ……」

 こんなところに居れば、人質として囚われかねない。メルの身柄を案じたラルドリスが唇を噛み、迷う間にシーベルが何かを発見した。
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