助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
だがボルドフはそれをさっと拭うと立ち上がり、メルたちの方を向く。
「殿下がこうした意思を持ち、城に戻ろうとされていることは非常にめでたきこと。ザハール王子やその配下には、自らの地位を高めこの国にある利権を貪ろうという意思しか感じられませぬからな。だがそれにしても、彼らの勢力を打ち倒すには生半可な事では不可能。フラーゲン卿、何かお考えがあるのですかな?」
「……まずは、殿下の為人を臣下の方々に受け入れていただくことから始めなければなりませんね。今回も殿下は、ザハール王子の配下に温情をかけ、寝返らせることに成功しました。ザハール派にも、失敗を許さないその暴君ぶりに辟易している者は多いはず。旗色が悪いと見ればこちらになびく者も少なからずいるかと。そのあたりの工作は私にお任せを」
「うむ……。では殿下の身辺の警護は我々が請け負おう」
「これまでとは違って、俺からも積極的に臣下と交流を図ってゆく。信を置ける人物がいたらぜひ教えてくれ。それと……母上はどうしている?」
躊躇いがちにラルドリスはそれを聞いたが、ボルドフは力強く頷いた。
「ご心配なされずとも、今は貴人牢にて不便を強いられてはおりますが、しっかりと我々第一騎士団の者たちで警護させていただいております。残念ながら、その罪が無実である証までは掴むことが出来ていませんが……」
「そうか……。いや、十分だ。ありがとう」
「殿下がこうした意思を持ち、城に戻ろうとされていることは非常にめでたきこと。ザハール王子やその配下には、自らの地位を高めこの国にある利権を貪ろうという意思しか感じられませぬからな。だがそれにしても、彼らの勢力を打ち倒すには生半可な事では不可能。フラーゲン卿、何かお考えがあるのですかな?」
「……まずは、殿下の為人を臣下の方々に受け入れていただくことから始めなければなりませんね。今回も殿下は、ザハール王子の配下に温情をかけ、寝返らせることに成功しました。ザハール派にも、失敗を許さないその暴君ぶりに辟易している者は多いはず。旗色が悪いと見ればこちらになびく者も少なからずいるかと。そのあたりの工作は私にお任せを」
「うむ……。では殿下の身辺の警護は我々が請け負おう」
「これまでとは違って、俺からも積極的に臣下と交流を図ってゆく。信を置ける人物がいたらぜひ教えてくれ。それと……母上はどうしている?」
躊躇いがちにラルドリスはそれを聞いたが、ボルドフは力強く頷いた。
「ご心配なされずとも、今は貴人牢にて不便を強いられてはおりますが、しっかりと我々第一騎士団の者たちで警護させていただいております。残念ながら、その罪が無実である証までは掴むことが出来ていませんが……」
「そうか……。いや、十分だ。ありがとう」