助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
ほっとした様子のラルドリスに代わってシーベルがある女性の名を出し、メルはぎゅっと体を竦めた。
「ティーラ・マーティル。彼女が証言者でしたね。正妃が国王の薬をすり替え、毒殺を図ったという」
「そんなことはあり得ん、でっち上げだ! くそっ、女狐ティーラめっ……母上によくしてもらった恩を仇で返すなど……。――っ! すまんメル」
「いえ、私もあの人のことをもう、家族だとは思っていませんから」
視線を辛そうに落とすメルに、その事実を知らなかったボルドフとシーベルは血相を変えた。
「ぬう!? マ、マーティル家の御息女とそちらの魔女殿が血縁だというのですか!?」
「……いやはや、なんと奇妙な巡り合わせでしょうか」
さすがにこの事実は想定外だったようで、驚きを隠せずにいるふたりに、メルは数年前の自分に起きた出来事を明かした。
他の一同は言葉を失くし、深く考え込む。
「そう……そんなことが……。齢十かそこらの少女のやることとは思えませんね。末恐ろしい」
「自分の将来のため、幼い妹を切って捨てるか。ただならぬ、悪魔のごとき執着であるな……」
「ティーラ・マーティル。彼女が証言者でしたね。正妃が国王の薬をすり替え、毒殺を図ったという」
「そんなことはあり得ん、でっち上げだ! くそっ、女狐ティーラめっ……母上によくしてもらった恩を仇で返すなど……。――っ! すまんメル」
「いえ、私もあの人のことをもう、家族だとは思っていませんから」
視線を辛そうに落とすメルに、その事実を知らなかったボルドフとシーベルは血相を変えた。
「ぬう!? マ、マーティル家の御息女とそちらの魔女殿が血縁だというのですか!?」
「……いやはや、なんと奇妙な巡り合わせでしょうか」
さすがにこの事実は想定外だったようで、驚きを隠せずにいるふたりに、メルは数年前の自分に起きた出来事を明かした。
他の一同は言葉を失くし、深く考え込む。
「そう……そんなことが……。齢十かそこらの少女のやることとは思えませんね。末恐ろしい」
「自分の将来のため、幼い妹を切って捨てるか。ただならぬ、悪魔のごとき執着であるな……」