助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「生き急ぎ過ぎたのだな。無理が祟ってしまい、体を壊してしまわれた。ふたりの御子の成長を見届けられぬままに。残念でならぬ……儂は今になって思うのだ。ふたりの御子にあえて継承順位を定めなかったのは、その重責を兄弟で分かち合い、自分のようにならないことを願ってではなかったのかと……」
そうあるべく生まれたのだと自分で生き方を定め、周りのために命を削って人生を駆け抜けていく。そんなひとりの王の背中がメルの頭にも浮かぶ……。
その大きな背中はきっと、多くの人々に夢を見せたのだろう。
「――ふぅ。すまない、待たせた」
扉がカチリと開き、ラルドリスたちが姿を見せた。
容態が思わしくないのだろうか。彼の表情は、疲れたように青白く沈んでいた。
彼は旅の間、父親のことをほとんど話さなかった。きっと忙しくて、あまり交流を持った記憶がないのだろう。病に臥す父は、彼の目に一体どう映ったのか。
「どう……でした?」
そうあるべく生まれたのだと自分で生き方を定め、周りのために命を削って人生を駆け抜けていく。そんなひとりの王の背中がメルの頭にも浮かぶ……。
その大きな背中はきっと、多くの人々に夢を見せたのだろう。
「――ふぅ。すまない、待たせた」
扉がカチリと開き、ラルドリスたちが姿を見せた。
容態が思わしくないのだろうか。彼の表情は、疲れたように青白く沈んでいた。
彼は旅の間、父親のことをほとんど話さなかった。きっと忙しくて、あまり交流を持った記憶がないのだろう。病に臥す父は、彼の目に一体どう映ったのか。
「どう……でした?」