助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「そうかもしれないけれど……私にはあなたの身体の方がずっと大事だわ。なにも楯突かずとも、国政は兄君のザハール殿と、その周りの方々に任せればいいのではないの?」
「奴は元々、どこにいようと俺の命を狙うつもりだったようですよ。幾度もここまでに殺されかけることになりましたから」
「なんですって……!?」
「母上!」

 衝撃的な報告に正妃は青い顔をしてへたり込む。その彼女にラルドリスは隙間から手を伸ばした。

「大丈夫です。信用できる仲間……シーベルやボルドフ、それに……あいつが俺の身を守ってくれましたから。メル、こっちへ」
「えぁ!? えと、その……」

 急にラルドリスが振り向いて自分を示したので、たちまち挙動不審になったメルは、ぱたぱたと体の前で手を振った。
 そんな彼女をラルドリスは手招きし、王妃の元へ呼び寄せた。

「こいつは、メル・クロニア。フラーゲン領近辺にあるナセラ森に住んでいる……なんと、魔女なんです」
「魔女……様? こんなお若くて、可愛らしいお嬢さんが?」
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