助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
……が、ザハールの元で過ごしつつそれを実行するのは至難。ティーラにしても、難しい判断を強いられるところだった。
(まだしばらく、様子を見るしかないわね。それにしても……)
いったいなにが、ラルドリスにあのような成長を促したのか。どうも気掛かりなのは、ラルドリスの後ろにいた一人の侍女だ。フラーゲン卿が連れて来た人物の可能性が高いが、はて、どこかで……。
(おそらく、最近のことじゃないわね。もっと昔……?)
なにかを堪えるように俯いていたその姿にどこか懐かしいものを感じたような気がしたが、日々膨大な情報が取り交わされる宮廷で生き残るには、不要と判断した情報は逐一削除しなくては追いつかない。
とっかかりを明確にしようとティーラは頭を巡らせたものの、結局彼女はメルの正体に気付くことは無かった。
妹メルローゼは死んだ……既に彼女の中ではそう、決着がついていたから。
しかしこれが致命的なの誤算となって己が身に降りかかってくる。
その日はもう、すぐそばに――。
(まだしばらく、様子を見るしかないわね。それにしても……)
いったいなにが、ラルドリスにあのような成長を促したのか。どうも気掛かりなのは、ラルドリスの後ろにいた一人の侍女だ。フラーゲン卿が連れて来た人物の可能性が高いが、はて、どこかで……。
(おそらく、最近のことじゃないわね。もっと昔……?)
なにかを堪えるように俯いていたその姿にどこか懐かしいものを感じたような気がしたが、日々膨大な情報が取り交わされる宮廷で生き残るには、不要と判断した情報は逐一削除しなくては追いつかない。
とっかかりを明確にしようとティーラは頭を巡らせたものの、結局彼女はメルの正体に気付くことは無かった。
妹メルローゼは死んだ……既に彼女の中ではそう、決着がついていたから。
しかしこれが致命的なの誤算となって己が身に降りかかってくる。
その日はもう、すぐそばに――。