助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「その辺りは、彼女たちの良識を信じるしかないな。俺が戻ってきたことでザハールに怯えていた気持ちにゆとりが生まれているかもしれん。そこを突かせてもらおう」
「わかりました……お供します。本日はシーベル様たちは?」
「それぞれの仕事をしに行った。シーベルは宮廷内部の伝手を辿り、ボルドフは主に軍関係で俺の支持者を探してくれる。王都で近々、建国三百年の歴史を祝う式典があるからな、そこで大々的に俺が王位を継ぐ意向を示すつもりだそうだ」
「そうですか……」
メルはごくりと喉を鳴らす。ずいぶんな短期決戦に出たものだと思うが、それもラルドリスの身を慮ってのことだろう。先延ばしにすればするほど彼は長い間、ザハールから命をつけ狙われるリスクを負うことになる。
どうやら、メルの方もしっかり気合を入れて臨まなければならないようだ。
「事件の解明と、あなたの身の守りに全力を尽くしましょう」
「ああ、頼む。お前が頼りだ」
食事を終え、ふたりは食休みもそこそこに部屋を出ようとして。
その際、肩に手を置かれ、メルはびくっとする。
「どうした? すまん、強く叩いてしまったか?」
「わかりました……お供します。本日はシーベル様たちは?」
「それぞれの仕事をしに行った。シーベルは宮廷内部の伝手を辿り、ボルドフは主に軍関係で俺の支持者を探してくれる。王都で近々、建国三百年の歴史を祝う式典があるからな、そこで大々的に俺が王位を継ぐ意向を示すつもりだそうだ」
「そうですか……」
メルはごくりと喉を鳴らす。ずいぶんな短期決戦に出たものだと思うが、それもラルドリスの身を慮ってのことだろう。先延ばしにすればするほど彼は長い間、ザハールから命をつけ狙われるリスクを負うことになる。
どうやら、メルの方もしっかり気合を入れて臨まなければならないようだ。
「事件の解明と、あなたの身の守りに全力を尽くしましょう」
「ああ、頼む。お前が頼りだ」
食事を終え、ふたりは食休みもそこそこに部屋を出ようとして。
その際、肩に手を置かれ、メルはびくっとする。
「どうした? すまん、強く叩いてしまったか?」