助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「ああ。その詳細を話して貰いたい。傍にいたお前たちが一番知っているはずだ、母上があのような行動を起こすはずがないことを!」

 その怒声に、宮女たちの肩がびくっと跳ね上がる……しかし。

「私たちは……なにも知らないのです」

 彼女たちは、強く咎めるラルドリスの視線から目を外し、ぎゅっと唇を噛む。

「……知らないということはなかろう。母上からもお前たちが事件の日まで傍にいたことは聞いている。なぜだ――」
「ラルドリス様、彼女たちは……」

 そこで、さらに追及しようというラルドリスをメルは止めた。彼は必死になって気づかなかったようたが、当事者でないメルには、室内に入る前から彼女たちが小刻みに震えるのが見えていた。おそらく……。

「……口止めされているのだな」
「お許しください。これ以上は……」
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