助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「うん? 真相がわかるのであれば、もちろんだが……」

 思いがけない言葉を聞いたラルドリスは、そこでなにかに気付いたように顔を上げた。

「そういや、いつもチーチーうるさいあのちびリス、今日は静かなんだな」

 メルはそこで口角を僅かに上げると、両眼を細めた。

「お仕事中です。明日には帰ってくるとは思いますので、朗報をお待ちください。それと、クルミはお城でもらえますか?」
「うん? 厨房に行けば山とあるが……」

 そのメルの言葉に少し首を捻りながら、ラルドリスも顔を明るくした。

「まあ、お前がそう言うなら任せよう。ではそれも兼ねて今のうちに、城を案内しておくか。面倒なほどだだっ広いが、お前の森に比べれば可愛いもんだろ?」
「いやいや、自然と人工物を一緒にしないでくださいよ。勝手が大分違うんですから――」
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