助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

冤罪事件の真相②

 そしてチタが宮女たちの部屋を訪れた翌日。

「あっ、帰って来ました!」
「チュイッ!」

 メルが借りている客室でラルドリスと待っていると、毛皮のところどころを埃で汚したチタが、開いた窓から姿を現した。その手には、くるくると巻かれた糸――いや、髪の毛がしっかと握られている。

「部屋の通気孔でも潜って抜けてきたのかしら。すごい埃……けほけほ。あっと、ちょっと待った。ご飯は綺麗にしてから!」
「チュギーッ!」

 目の前の皿に山盛りになったクルミの山に、いざ突撃! と飛び出したチタをメルはキャッチ。部屋にあった水差しでタオルを濡らすと、暴れる彼の毛皮を丁寧に拭いてやる。

「はい、綺麗になったよ。ご苦労様でした」
「チチッ」
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