助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね
「教えてくれ。陛下の毒殺未遂事件の証拠となった毒の出所は、調査したか?」
「出、出所でございますか? なにぶん正妃様が起こされた事件という事で、深入りを咎められまして……ベルナール公爵に」
「ちっ……あいつか」
メルもその人物についてはシーベルには聞かされている。ザハール派の中心人物の筆頭格で、やり手と名高い国政を司る内務方の長官。だがそうと聞いても、ラルドリスは執拗に食い下がった。
「頼む、見せてくれ! 母上は何者かに陥れられた可能性が高いのだ! それを解明せずこのままにすれば、この国を意のままに貪ろうとするやつらを裁く機会を失ってしまう! あの人の息子として、そして次代の王権を担う候補のひとりとして、捨て置くわけにはいかないんだ!」
「ですがねぇ、いかに殿下と言えど……」
ラルドリスの剣幕に押された兵士が顔を歪め判断に困った時、後ろの方から声が掛けられた。
「私からもお願いします。ベルナール公爵が難癖をつけるようでしたら、私が直接対応しますから」
「シーベル様、どうして!」
「おふたりが急いでどこかにゆくのが見えましてね」
「出、出所でございますか? なにぶん正妃様が起こされた事件という事で、深入りを咎められまして……ベルナール公爵に」
「ちっ……あいつか」
メルもその人物についてはシーベルには聞かされている。ザハール派の中心人物の筆頭格で、やり手と名高い国政を司る内務方の長官。だがそうと聞いても、ラルドリスは執拗に食い下がった。
「頼む、見せてくれ! 母上は何者かに陥れられた可能性が高いのだ! それを解明せずこのままにすれば、この国を意のままに貪ろうとするやつらを裁く機会を失ってしまう! あの人の息子として、そして次代の王権を担う候補のひとりとして、捨て置くわけにはいかないんだ!」
「ですがねぇ、いかに殿下と言えど……」
ラルドリスの剣幕に押された兵士が顔を歪め判断に困った時、後ろの方から声が掛けられた。
「私からもお願いします。ベルナール公爵が難癖をつけるようでしたら、私が直接対応しますから」
「シーベル様、どうして!」
「おふたりが急いでどこかにゆくのが見えましてね」